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「城崎 ゆりあか。」
バイクを走らせながら考えるのは先程出会ったばかりの少しバカっぽい女。
確かに可愛いが俺の好みではない。俺は大人っぽい女の方が好きだった。
あいつは全然反対だ。
小さくて、華奢で、目が大きくて小動物みたいな女。世の男は好きだろうけど俺はなー。
けど面白いしからかいのある奴だった。いじめてやりたいと思う程に。
そんな事を考えているうちに学校へ辿り着いた。校門前にバイクを止めるとすぐに俺を待っていたのか前から直樹が走ってきた。
「龍ー!おせーよ~。ずっと待ってたんだぞ!どうせナンパでもしてたんだろ。桜女子は入学式だもんな!可愛い子いた?」
ツンツンしたシルバーの髪は今日も綺麗にセットされている直樹。俺の肩に腕を乗っけながらいつものように女の話をしてくる。
「ちげーよ。ナンパつか、可愛い新入生なら桜女子前まで送ってやったけど。ま、俺はタイプじゃねーけど。ゆりあって名前らしいよ。」
さっき出会った女の話を軽く直樹に聞かせた。するとニヤニヤしながら
「ずりぃ!俺もゆりあちゃん見てみたい!つか悪い男だなぁ~?莉奈ちゃん以外の女をケツに乗せやがってよー。チクるぞ!」
「ばか、そんなんじゃねーよ。」
そう答える俺に対し直樹はニヤニヤとした憎たらしい顔を俺に近付けてくる。
「おま、…このやろう。」
綺麗にセットされた髪へ手を伸ばし直樹の頭をグシャグシャにしてやった。俺をからかうからだ。
「や、やめろよ!1時間もかけたんだからな!」
慌てて髪を整えようと一生懸命になる直樹を見て笑いながら教室へと向かっていった。
ゆりあとの出会いがきっかけでこれからいろんな事が起きるなんて気付くはずもなかった。
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