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ばあちゃんの自宅に入った卓はもお開いた口が塞がらなかった。呆然と立ち尽くす卓にばあちゃんは
「そんなところに立ってないで、こちらにお座り。」
と優しく促してくれた。
『ありがとう。ばあちゃん。失礼します。』
「お礼を言うのは、わしのほうじゃよ。本当にありがとう。」
ばあちゃんは、頭を深々と下げて言った。続けて
「なんか、お礼をしないとね。」
『そんなお礼なんていいよっ!』
と卓は慌てて言った。
「いやいや、そんなわけにはいかんよ。わしのきがすまん。そうじゃ!わしさっき競馬場にいっとっての。万馬券を当てたんじゃが、取り替えてくるの忘れてしもうたんじゃ。お兄さんにあげるわい。」
そういって、卓に馬券を差し出した。
『そんなっ!受け取れませんよっ!』
「ええんじゃっ!わしのきが済むようにさせてくれっ。」
と卓に無理矢理手渡した。
『わかりました。ではありがたく受け取らせてもらいます。』
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