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―マラカイアの街
ざわざわと人が行き交い、賑わいを見せる市場の一角にその鍛冶屋はあった。
「いらっしゃいませ、どうぞゆっくりしていってください。」
デュモル鍛冶屋の看板娘のルティはこのマラカイアの街一番の美女と呼ばれているほど人気のある少女だった。
深海を想わせるような青い髪は長くしなやかで太陽に照らされて光輝いている。
草原のように穏やかな緑の瞳は丸く、幼いように見える。
雪のように白い肌と整った顔立ちは男性だけでなく、女性も立ち止まる程の美しさだった。
そんな美女が呼び込むのだから、鍛冶屋は常に繁盛していた。
デュモル鍛冶屋はマラカイアの街では珍しい鉱石を使った武器や防具が有名である。
この鍛冶屋を切り盛りしているのは、シャーレンと言う男性だ。
シャーレンは茶髪に栗色の瞳をしているが、体格は筋肉質な大柄で人当たりの良さからわざわざこの鍛冶屋で買う常連も居るほどだ。
ルティは水色のワンピース着て父親のシャーレンの手伝いをテキパキとこなしていく。
客が満足げに帰って行くなかで、広場の方が騒がしく人が集まって来ていた。
「お父さん、広場で何かやってるみたいだわ。」
鍛冶屋の入り口から広場を覗いていたルティが興味津々で父親のシャーレンによびかける。
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