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「仕事は父さんに任せていっておいで。」
奥の作業場で武器を作っていたシャーレンがルティに答える。
ルティは喜んで、人をかき分けながら、広場に向かった。
―マラカイア広場
人が波のように押し寄せる中で、ルティは確実に前に進んでいった。
最後の波をかき分けると、広場の中央に鮮やかな鎧を身に付けた人が輪のように並び、何かを守っているようだ。
その輪から一人の兵士が群衆に向かい大声で語り出す。
「皇帝陛下はドラゴンの卵が孵化をしないことに落胆なされ、やむを得ず民の力を得ることになされた。そなたらの中に誰かドラグーンになろうと思う者は前にでるがよい!」
高らかに聞こえた兵士の言葉にぽつりぽつりと人が前に出てドラゴンの卵に触れるが、孵化をする気配はない。
『…おいで。』
突然響き渡る声にルティは悲鳴をあげそうになるが、辺りの人々の反応はさっきまでと変わることはなかった。
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