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「お前、コーヒーはかなり濃い目が好みだよな? そのうち胃を悪くするぞ」
オーナーが、僕の好みを知っているのはどうしてだ。出かけるふりで監視でもしているのか。
「お前が毎朝モーニングを食べに行く店。俺も、そこの常連。注意力散漫で修行不足だな……未熟者よ」
オーナーによしよしと頭を撫でられて、僕は腹にすえかねるあまりアイスピックをつかみ、その背中に振りかぶるところだった。
代わりに氷の塊をフリーザーから出し、アイスピックをザックリ突き立てる。
落ち着け、自分。
彼は上司。例え怠け者だろうが心身が腐っていようが、こいつは店のオーナー、そして僕は大人でバーテンダー。大事な道具を殺傷になど使わない。
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