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「付き合い悪いっていうか、なんか嫌な感じで」
いくらか腹を立てているようだった。
「安田さんはどんな人でした?」
大岩はメモをとりながら、石田と目を合わせないまま口を動かす。
石田はそうですね・・・と少し考えるようにしたが、一文句も二文句もありそうな顔をして安田瑞希について語りだした。
「高校の時、瑞希が私のこと助けてくれたんです」
そんな始め方をしたから、大岩も顔を上げて興味をもったらしい。
「高校2年のとき、私、仲の良かった女子グループからハブられたんです」
いじめられるというところまではいかなかったらしいが、それは苦しくキツかったという。
そんな彼女にある日「おはよう」と声をかけたのが、安田瑞希だった。
「瑞希は優等生って感じで、成績もその頃学年トップだったんですよ」
スカートの丈もそんなに短くしていなくて髪も染めていない。
化粧もしていない安田瑞希は絵に描いたような優等生で、教師たちからも一目置かれるくらいだったという。
それとは反対に、石田はスカートの丈はとても短く、茶髪で化粧もバッチリしているギャルだった。
「同じクラスだったけど、そうやって声かけられるなんて思ってなかったんです」
安田瑞希は、どうやら石田がいじめられていると思っていたらしく、それから言葉をかけてくれるようになったのだそうだ。
石田は藁をもつかむ思いで、安田瑞希に相談をした。
「瑞希は黙って話を聞いてくれて、同情してくれて、私を受け入れてくれたんです」
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