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そういうこともあって、石田は安田瑞希を心底信用した。
「仲良くなってみると、瑞希は勉強も大してしないし凄く変わった子でした。化粧とかしないのも、怒られるのが面倒だからとかいってて」
だから、安田瑞希はバレないところで悪いことはそれなりにしていたらしい。
たとえば、飲酒も普通にしていたという。
「もう時効ですよね?」石田麻美が確認したことに、大岩は笑って頷いていた。
高校を卒業すると石田は就職をして地元を離れ、安田瑞希は地元の大学に進学した。
その間は疎遠になったという。
だが、石田が仕事を辞めて地元に戻り、結婚した頃からまたよく会うようになったそうだ。
「ここ1,2年はわりと会ったりしてたけど、会えば楽しい人でしたよ。ただ、なかなか連絡つかない感じだったけど」
それまでは楽しげに話したりしていた顔が、また不機嫌さを取り戻した。
「金ないとか、そんなことばっかり言ってたし。まともに働く気もなかったみたいだし」
家の仕事を手伝って小遣いをもらっているというのが理解できない。
そんなにお金がもらえないなら、バイトでもなんでもすればいい。
石田はそう続けた。
「自分が頭いいとかそういうことは思ってもいなかったみたいだけど、なんか人を見下してる感じがしてました」
だから・・・・・石田麻美がふっと息をついて言った。
「殺されたとしても、別に不思議には思わないですよ。誰に恨まれてるとかは知らないけど、恨まれててもおかしくないって感じもしますから」
大岩が真剣にメモをとっている。
「あなたは、安田さんをどう思ってましたか?」
大岩のかわりに口を開いていた。
石田がこちらを見て、そうですね・・・と一口だけコーヒーを飲んだ。
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