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「秋川です」
隣町の中学校。
会議室に通されて待っていると、すぐに秋川雅義が現れた。
日焼けした顔に短髪の姿。
背は高くない。
落ち着いた対応をしているが、なぜ自分を刑事が訪ねてくるのかわからないらしい。
安田瑞希のことを告げると、秋川は言葉を失った。
元教え子の早すぎる死は衝撃が大きい。
まして、最近までよく呑みに行っていたというのだから、刑事から聞くというのは普通よりも衝撃が大きいようだ。
それは、いかにも事件性があることを疑わせるのだろう。
予想通り、事件性があるのかと問われたが大岩がまだわからないと答える。
秋川は頷いたきり何も言わなかった。
大岩が根掘り葉掘り質問を始める。
「最近会ったのはいつでしたか?」
「一番最近会ったのは、去年の夏でした」
「それは?」
「瑞希と2人で飲みに行きました」
大岩の目がキラリと光った気がした。
「2人でですか?」
「えぇ。いつもは何人か瑞希が同級生を連れて来るんですが、前回は集まらなかったというので2人で」
怪しまれているということは、おそらく秋川も感じているはず。
だが、秋川は特別動じることなく答える。
「どこに行きましたか?」
「居酒屋でご飯を食べた後、カラオケに。それが何か関係あるんですか?」
もっともな質問だ。
大岩を睨むと、大岩は気まずそうに咳払いをした。
「連絡をとったのは、最後、いつでしたか?」
しどろもどろになる大岩を見透かすように、冷静な秋川は大岩を見ていた。
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