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太陽が沈んで街灯の光が暗くなった道を照らしている高校からの帰り道。
近所のおばさん達が街灯の光の中で井戸端会議をしている。
こんな時間までよく話すネタが尽きないものだと感心してしまう。
ちょうど、僕がおばさん達の横を横切ろうとした時、おばさん達の声のトーンが下がった。
「ねぇ…聞いたかしら?」
「聞いた!聞いた!あの子の事でしょ?」
「可哀想よね 交通事故で家族全員亡くして」
「身内も居ないらしくて、今は独りで生前家族と暮らしていた一軒家に住んでるらしいわよ」
「まだ高校生なのに…天涯孤独なんて可哀想にね」
天涯孤独、人が僕の事をそう呼び始めたのは、交通事故で僕以外の家族が亡くなってからだ。
正直…僕は天涯孤独と言われてもあまり実感が湧かない。
けして家族が亡くなる前から家族とは思っていなかったという訳ではない、理由は他にある。
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