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キッチンから声がかかる。
母「守(まもる)お帰り♪ちょうどいいタイミングね お母さんが作った守が大好きなハンバーグが完成したとこよ♪」
ソファーの方からも。
姉「守っ!後でお姉さま、直々に格ゲーで勝負してやろう コイツ(弟)じゃあ相手にもなりやしないからな」
弟「相手にもならないのはこっちのセリフだよ
お姉ちゃんが暇だてだだっ子みたいに、だだ捏ねるから、仕方なくやったのに
兄ちゃん やんなくていいよ」
「あぁ…」
交通事故でお亡くなりになった僕以外の家族なんです。
え?生きてんのとか、僕が作り出した幻想とか、思われた人もいるでしょう。
でも、違うです。
彼らは幽霊なんです。
僕はリビングにあるテーブルの椅子に座る。
テーブルの丁度僕の目の前に母さんが作ったハンバーグが置かれる。
母「召し上がれ♪」
ちょうどお腹も空いていたので、僕はホークを手に取りハンバーグを食べようする。
それをハンバーグを取り囲む様な陣形をとる母親、姉、弟の三人が見ている。
この常態はサッカーで、ドリブルで攻め上がろうとしているところに三人のディフェンダーに取り囲まれ、プレッシャーをかけられている様なものだ。
「ねぇ…みんなも見てないで食べれば?」
「守…お前ケンカ売ってんかぁ?あたしらはな幽霊なの!食べたくても食べられないの!」
緑色の半袖ワンピースにショートパンツという格好をしている姉が言った。
「そうなのよね お洗濯したり、こうやってお料理したりは出来るだけど」
エプロン姿が似合う僕の自慢の美人な母何時も笑顔を絶やさない。
弟「僕達は幽霊なのに物や何かに触れれば感触を感じとる事が出来るけど…食べ物だけは食べると…」
弟が話している最中に我慢なら!!と言い、姉が僕のハンバーグの一部分を口の中へ放り込む。
すると、腹の辺りからハンバーグが食べる以前と変わらぬ姿で突如姿を現しテーブルに落下していく。
ハンバーグがテーブルに落ちて汚れないように僕は落下地点を予測して皿を滑らせた。
でも、失敗した。
ハンバーグは皿の数㎝横にペッチャと音を立て着地したのだ。
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