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「でも…お父さんにはハデな嫌がらせなんできないよ…」
お父さんは項垂れている。
それを見越していたかのように姉は肩をわざとながらグルクル回し、リビングを後にしようとする。
「そんじゃ~仕方ないな あたしが父さんの代わりに嫌がらせしてくるかな♪」
姉の顔には満面の笑みが浮かんでいた。
この人はどれだけ暴れたいのだろうか? 弟の目線ではなく、第三者の目線から気になる。
姉がリビングのドアのノブに手をかけたところで、母に片方の肩を片手で押さえる。
「母さん 止めたて無駄さ あたしは行くよ嫌がらせをしに!!」
「ダメ♪」
母は姉の耳元でそうささやいた後、父やさっきから家族会議を放棄しゲームに勤しむ弟、それに僕に聞き取りずらい小声でさらに続けた。
「嫌がらせは私がするんだから」
父と弟には聞こえていなかったらしいが、僕には、はっきりと聞こえた。
その声色から推測するに僕が今まで数回しか見たことのない母の恐い顔があるとみた。
そこらへんの道を歩いている人を平然と殴る、あの姉が震えている。
母、恐るべし!!
この家の最強は母で間違えない。
後日知ったことだが父が勤めていた会社のすべてのコピー機が家族会議の翌日に詰まって故障したらしい。
犯人は見つかってない。
でも…明らかに犯人は…母である。
やはり母恐るべし!!
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