第一章~別れ、そして旅立ち~

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馬に乗る人物の容貌は、すっぽりとフードを被っているため窺い知ることが出来ない。 灰色のローブと皮の靴、目を引くものは特に無い。唯一、鞘に収められた状態で携帯されている立派な長剣以外は……。 (後方にニ匹……、それと左右にそれぞれ一匹づつ……) どうやら敵に跡を付けられていたらしい。 暗闇に紛れ、相手の姿を視覚で捉えることはできない。 ただ、かすかな音や気配といった他の情報でそれを補うことはできる。 確信はないが、それを信じるか信じないかで生死が分かれることもあるのだ。 そう……。今、この状況がまさにその時である。
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