剣をその手に

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「まだ泣いてるの?もうやめちゃう?」 目を開けると、挑発するように睨む先輩が映り、私も負けじと睨み返した。 涙を強く拭って深呼吸をする。 『私には剣しかなかったんだよ』 『近藤さんのために、最期まで剣を振るいたかった……!』 ――戦いたくても、戦えない人がいた。 大切な人のために尽くそうとするその気持ちが、 この先輩にわかるだろうか? 「私は…」 私は先輩を睨みつけたまま竹刀をギュッと握った。
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