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「ハヤト君、大きくなったね。」
マツバは自分より数センチ高くなったハヤトを見上げながら呟いた。
「成長期ですからね。」
「でも悔しいなぁ。僕もう成長期とっくの昔に終わっちゃったし。」
ハヤトは全然悔しそうな顔をしてないじゃないか、と思いながらマツバを見つめる。
「なんか顔も大人っぽくなってハヤト君の方が年上みたいだね。」
イタズラっぽく笑う姿はまさに無邪気な子供で、可愛らしい。
「傍から見ればそうかもしれませんね。」
―――でも、
「実際はそうじゃないよな。」
―――悔しいですよ。
貴方を越せなくて。
貴方に身長で勝っても、5年という差はどう足掻いても勝てない。
それは周知の事実。
いや、この世の人生では当たり前の話だ。
たかが5年、されど5年。
その差は大きい。
「ハヤト君、大丈夫?」
「はあ。大丈夫ですよ。あ、そうだマツバさん、24歳の誕生日おめでとうございます。」
今から数ヶ月だけ、差が6年になった。
END
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