きみのすきなとこ

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ヘタレだと思う僕だって何度も恋はした。 その度に駆け引きは上手くなってる。 だけど言いたい事も言えないこの胸のむず痒さに手が届かない。 「はぁ…」 そして、またため息。 「どうしたの?マツバさん。」 「ううん。何でもない。ハヤト君には関係無いよ。」 困った顔見たくて、ちょっと意地悪言ってみた。 案の定、困った顔をした。 うん。 可愛い。 「冗談。本当に何でもないから。ハヤト君の困った顔見たくてね。」 「もう知りません。」 ぷい、とそっぽ向いてしまった。 その顔も可愛い。 違う。 どの顔が可愛い、とかそんな話じゃなくて全てが可愛いんだ。 可愛くて愛しい。 「怒らないでよ~。ほら、笑って?」 と、目を見ながら笑いかけてやると彼もニコッと笑う。 あ、片方だけ笑窪が出来てる。 「ハヤト君はやっぱり可愛いね。」 「何恥ずかしい事言ってるんですか……。」 ギュッと、彼から抱き付いてきた。 そっと彼の顔の縁を撫でてやり顎を掴んで目を合わせた。 「今、凄いキスしたくなった。しても良い?」 優しく微笑みながら彼に問いかけると、彼は恥ずかしがりながら小さく頷いた。 そして、優しく唇を重ねた。 何度も角度を変えて愛を確認する様なキスを、何回も。 彼の全部が好き。 ピンクの綺麗な唇も、石鹸の匂いがするちょっとギシギシする髪も、今、抱き締めてる少し低いこの温度も、全部。 彼の好きな所は他の奴より知っているつもり。 たけど、やっぱり言葉に出来ない。 .
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