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その日は、別な人に用事があって、携帯電話を開いていた。
次の日の時間割を教えて欲しいと、友達に送ろうとした瞬間、誰かからメールが来た。
メールの送信を邪魔されたことに少し苛立ちながらも、メールを確認する。
「今日、綺麗な三日月だよ。
そっちでも見える?」
あの日のことなどなかったかのように、いつもの調子で送られてきた、彼女からの他愛もないメール。
思わぬ相手からのメールで、俺は驚いた。
彼女はどういう心情でこのメールを送ったのだろうか。
「見えるよ。
……あのさ、前から思ってたんだけど、俺のことどう思っててそういうメールくれるの?」
答えが知りたくて、思わず聞いてしまう。
返事はすぐに返ってきた。
「どう思ってるかって?
うーん……好きか嫌いかで言ったら好きだよ」
「その『好き』って友達として?
それとも……男として?」
『彼女の本当の気持ちが知りたい』
ほとんど間をあけず、畳みかけるように次のメールを送った。
送ってしまってから、自分のやってしまったことに気づき、後悔した。
これじゃあほぼ告白じゃないか、と。
彼女から返信が来るまでの10分間、俺の心臓は大きな音をたてっぱなしだった。
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