入学

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笑っているのに気づいた 先生が、手に持っていた手帳で 野村さんの頭を叩いた。 「…いって!」 「さっさと並ばんか!!」 先生の言葉に、野村さんは しぶしぶと列に並んだ。 そんな野村さんが 面白くて、そしてなんだか 可愛くて…私はずっと 見入っていた。 「……でね、…って、咲ちゃん 聞いてるー??」 そんな理恵ちゃんの言葉も 今の私には全く聞こえず。 理恵ちゃんに大きく身体を 揺さぶられて私は我に返った。 「…あっ、ごめんごめん」 「………」 「…理恵ちゃん?」 「さっきからあの人を 見てばっかりだね」 「えっ!?そ、そんなことないよっ」 理恵ちゃんの言葉に 私は激しく動揺してしまう。 夏でもないのに、顔は 真っ赤に火照っていた。
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