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「早くしねーともうすぐ
チャイム鳴っぞ?」
「あっはい!」
「じゃあな」
男は大きなあくびをしたあと、
私に向けて手を軽く振った。
「あっあの!!」
「…ん?」
「あっあの、名前っ!
あなたの名前は!?」
「…あぁ。野村 和真(のむら かずま)。
よろしくな、咲」
「…!」
―咲。名前を呼ばれただけなのに
私の胸の鼓動が大きく揺れた。
……心臓の音、うるさい。
「あの、本当にありがとう
ございましたっ!」
「気にすんなって、じゃあな」
「はいっ」
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