1人が本棚に入れています
本棚に追加
すぐに口が塞がれた。
でも、塞いだのはその人の大きな手だった。
「しーッ。黙って。気付かれちゃうよ。」
優しい、男の子の声だった。
「よし。行ったみたいだな。」
と言うと同時に口から手が離れた。
「あの…。」
「大丈夫?なんかつけられてたみたいだけど。ありゃ、ストーカーだな。キミ、可愛いもん。」
と、言うとその子はぐっと私を近くに寄せた。
「あの…ありがとうございました。」
「いいよいいよ。それよりさ、キミのその制服、まさかの星沢学園?」
「えっ?あ、はい。」
「マジで!?俺、明日からそこに転入すんだけど。何年何組?てか名前は?」
いきなりそういう流れ!?
「てか美人!!ヤベ、俺のタイプど真ん中。」
人の話を聞こうよ。てかきみからふつう名乗るべきでしょう!?――なんて言えないしなぁ。まいいか。
「一年…5組。瀬戸内澪夏。よろしく。」
言っちゃった…
でも悪い人じゃなさそうだしね。
「澪夏ちゃんッ!名前までキレイじゃん♪」
あ…笑った…。カッコいいかも…。
私達はそのまま、方向が同じってことで、一緒に帰った。
最初のコメントを投稿しよう!