2・届かぬ想い

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あの言葉は、きっと健太の本心だろう。 アイツは、少し変わっていると思う。 この世の中に悪い人はいないと、必ずみんなが良心を持っているんだと、信じ込んでいるらしい。 過去の影響で、自分を守るためにそうなったのだと聞いている。 そのせいか、誰にでも同じ態度で接する。 目上の人に対しての礼儀とかはキチンとしているが、見た目はもちろん、男も女も、年齢すらも関係ない。 『八方美人』 まさにその通りだと思った。 でも、みんなに良く思われようとか、好かれようとか、そんな事は考えていない。 本気で友達になろうとしている。 ただそれだけだった。 そんな健太の真っ直ぐな気持ちは相手にも伝わるのだろう。 たまに、疎ましく思われる時もあるそうだが、ほとんどの人間が健太と友達になる。 ただ、仲良くなるけれど、深くまでは入り込まない。 相手が気を悪くするような事はしないけれど、一線は絶対に越えない。 そんなアイツに気付いた時、他人に興味を持てなかった俺は健太に興味を持ったんだ……
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