2・届かぬ想い

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実際話してみると、色んな事を知っていて、話し上手なうえに聞き上手。 俺は、どんどん健太に惹かれていった。 1度だけ、他人に深く関わろうとしない理由を聞いた事があった。 何気なく口にした言葉だったが、健太からすればかなり驚いたようだった。 答えてもらえなかったけど、『そんな事、初めて言われた。』と言ったその顔は、今までに見た事のない素の表情だった。 その顔を見た時、俺は健太に惹かれている意味を自覚した。 健太も健太で、俺みたいな人間がめずらしかったらしく、気付けば親友と呼ぶに相応しい関係になっていた。 俺にとっては、苦しい関係の始まりでもあったが…… 健太が、家族(……と言っても、親の事は信用していないみたいだから、翔太さんだけ)以外で心を許しているのは、翔太さんが信頼している優希さんだけ。 俺が2人目なんだと、翔太さんが教えてくれた。 そんな事を聞かされた俺の気持ちは膨らんでいくばかりで、今にも溢れ出しそうになっていた。 もちろん、健太にそんなつもりがない事は分かっていた。 分かりきった事だけど、誰かに心を許そうとする気配を見せない健太に、心のどこかで期待していたのかもしれない。 でも、振り向いてもらえなくても良いと思っているのも事実。 健太の周りにいる人間の中で、1番近いのは俺だと思えたから。 一生、傍にいられるだけで良いと思った。 それだけで俺は報われる。 そう思っていたのに……
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