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足を止めて、後ろから走って来るだろう健太を待つ。
「ナニナニ?待っててくれたの?どーしちゃったのよ。」
「……お前さ、渚の事どう思ってるんだ?」
「……は?」
俺は聞かずにはいられなかった。
「いや、忘れてくれ。」
口に出した瞬間、後悔した。
そんな事を聞いたからといって、俺達の関係が変わる訳なんてないのに……
「何か今日のさつき、ホント変だよ?熱でもあるの?」
「ッ///」
額に手を当てられ身体が強張る。
「ん~…熱はないか。」
「何でもないって。」
健太の手を振り払い顔を背けた。
「……なら良いけど。で、渚の事だっけ?」
「……」
忘れてくれと言ったのに。
「どうって言われても、何とも言えないんだよなぁ。強いて言うなら、さつきと同じ。」
「俺?」
「うん。めずらしい奴って。タイプは全然違うけど。」
「そうか……」
「あと、あれは凄いと思った。自分に酷いこと仕掛けた奴と友達になっちゃうんだもん。ビックリしたよ。まぁ、藤崎もね……」
「藤崎がどうした?」
「んー……オレとは違う方法だけど、虚勢を張って生きてきたんだなって思って。」
「……」
渚じゃない……藤崎だ……
藤崎の話題を出した時の健太の表情は、いつになく優しい物だった……
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