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「青い春とは、まさにこの事じゃのう。」
「……」
渡辺先生の事も、すっかり忘れていた。
優希が新しいお茶を出してくれていたようだ。
「先生はどう思いますか?」
俺は、思い切って先生に尋ねた。
この人も飄々としていて、掴み所のない人だが、相沢のような人間が懐いているって事は、悪い人ではないと思う。
「ワシらは見守るだけじゃよ。」
「見守る……ですか?」
「そうじゃ。確かに、多少の手助けは必要かもしれん。しかし、何事も自分で気付かなければなぁんにも進まん。」
「自分で……」
「世の中、上手くいく事ばかりではない。時には砕け散る事だってあるだろう。ワシら年長者は、そう言う時にしっかりあたたかく迎え入れて、包み込んでやる。失敗から学べる事もたくさんあるしのぅ。」
「あたたかく……」
「まぁ、ワシからすればお前さんたちも子供だがな。」
「……ありがとうございます。」
先生の言葉に、胸に支えていた物がスッとなくなった気がした。
自分の未来は自分で切り開かなければならない。
俺は、アイツらを最後まであたたかく見守っていよう……
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