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「それにしても、相沢らしい解決だったな。」
俺は、さっきのやり取りを思い出していた。
「当たり前じゃん。」
悠が自分の事のように話し出す。
「渚くんだよ。キレイな心を持ってて、誰にでも優しくて。でも……」
不意に悠の表情が曇った。
「悠?」
「本当はすごく辛かったと思う。苦しかったと思う。それなのに、あんな笑顔を見せて……」
他人に襲われる恐怖を知っている悠は、相沢の気持ちがよく分かるのだろう。
俺は、震える悠の手を少し強く握った。
「相沢には、佐々木がついてる。今回みたいに、佐々木が守りきれない所は俺たちが守ってやれば良い。違うか?」
「何か修ちゃんが真面目……」
「茶化すな。」
「ふふっ。ありがとね、慰めてくれて。」
「あぁ。」
悠に笑顔が戻り、一安心する。
やはり、相沢をしっかり守れなかった事を気にしていたようだ。
「もっと強くならなきゃ……」
顔を上げ、しっかりと前を見据える悠の瞳には、力強い光が宿っていた。
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