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キミが来たってわたしは枯れて、わたしが咲いてもキミは来ない、と少女は歯痒さを吐き出す。無意味で、そのくせ苦しくて、待ち遠しくて、だから、キミなんて嫌いだ、と少女は切なく青い瞳を揺らす。
それでも好きだ、と声が降った。少年の声だった。それは、雨のように静かに鳴り響く。
いつもは無理でも、必ずいつか逢えるから、僕は自分の気持ちを捨てない、と少年は少女に告げる。
だって僕は貴女の恋人だから――と少年が言う前に、雨が止んだ。
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