黄昏とも言えぬ夕べ

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空が焼けている。 黄昏の色。 世界の終わりをペーパームーンが眺めていて、人々にこの星の終わりを告げた明星は空を緋色に焼いている。 人は誰もいないひっそりとした川の畔で、一匹の犬がそのか細い月明かりと眩いまでの星明かりに照らされていた。その淋しい色に、取り残された犬の美しいまでに白い毛も染まっている。彼が身につける崩れそうなまでに年季が入った首輪の脆さが、世界の物悲しさをより一層引き立てている。
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