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「…っ、…お、ばあちゃん」
5歳の夏、おばあちゃんの家に預けられて、初めて行った夏祭り。
そこであたしは迷子になってしまった。
帰ろうと思ってもここは夏休みを利用して来たおばあちゃんの家だからあたしには帰り道がわからなかった。
独り、知らない土地を歩いていると鳥居が見えてきた。
そしてその下にいたのはあたしより背の小さい男の子だった。
「どうした?ここらへんじゃ見かけないな。
名前は?」
「…夏川…水恋。」
「すいれん? かっけ~名前だな」
「カッコイイ…かな?」
「あぁ。おれの名前は岡崎 風太。風太ってよんでな。よろしく」
あたしより背の小さい男の子は私より大人っぽく笑って…
寂しくて独り泣いていたのに、喋っているうちに心がぽかぽか温かくなってきた。
5歳の夏。
これがあたしと風太の出逢いだった。
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