傘と彼とオバさんと

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傘と彼とオバさんと

あれは今から10年程前。 ザ・イエローモ●キーのライブを見に行き、興奮覚めやらぬ帰り道での事だった。 当時呪いかと疑うくらい雨女な私が出かける先はたいてい雨で。 勿論この日も例外に無く雨が降り、私と彼はそれぞれ傘を持っていた。 「あの曲よかったなぁ」 「うん、めっちゃカッコ良かった♪」 等と話しに熱中していると、乗換駅に電車が止まった。 私達は電車を降り、話しがら次の電車を待った。 先程降りた電車の行き先を示すプレートが、小さい音を立ててスライドし【回送】という札に変わる。 寝過ごし客がいないか車掌が点検をしに、後ろから一両ずつ見回りをしている。 ライブの話しで盛り上がりながら何となしにその様子を見ていた私の目に、ふとある物が映った。
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