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そして僕も伝える。いつもの様に同じ答えを…
「ご、ごえん! き、ききみとはぢゅ…ちゅ、ぢゅきあヴぇない!!」
もの凄く噛みながら。
「え……?」
僕の噛みまくりの返事にイガシラさんは何を言われたか分からないのかきょとんとしている。
そんな彼女に今度は僕が深呼吸をして、しっかりと答えた。
「ごめん。……き、君とは付き合えないよ」
僕の否定の言葉にイガシラさんは泣きそうな顔をして、その場を走って去っていった。
彼女が体育館の角を曲がると、彼女を呼ぶ声が聞こえた。
恐らく友達が付いてきてたんだろう。複数の足音が一緒に遠ざかっていった。
「おぅおぅ、これで告白を断った回数38回か。罪深い奴だなぁ。春樹は」
「う~ん、それにしてもその回数以上に噛みまくるハルルンは可愛いよねぇ」
「軽く三桁はいってるからな、どうでもいいから回数は数えてないが」
イガシラさんが去っていった方向とは反対の、僕の背後の体育館の角から二人の男女が現れ声をかけてきた。
「久信に蘭……また僕の後をついて来たね?」
二人に対し、僕は元気のない声で呼びかける。またもや告白の現場を見られたようだ。
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