act,2 『情熱 from赤木剛憲』

5/7
前へ
/43ページ
次へ
自分の人生を本気で考えた時、それまでバスケだけだった自分が嘘のようにいなくなった。 先を見据えれば見据えるほど、“それからの自分”が明確になればなるほど、虚しくなった。 『“バスケ”に懸けていた自分は、嘘だったのか?』 …… 「おい、赤木。おまえ、もう少し柔らかく考えられねーか?」 呆れたように、三井が聞く。 「柔らかく?」 その意味が分からなくて、少し語調が尖ってしまう。 「これだから頭の固い奴は困るよ。」 「……ぬっ…喧嘩売ってんのか?」 「…ふん。いいか。確かにおまえの言う“虚しさ”は分からなくもないぜ。でもな、おまえはちゃんと、おまえの道を進んだじゃねえか。」 「……?……」 「誰だって、迷うんだ。迷いながら答えを見つけてくんだ。その過程に、ちゃんとバスケはあっただろ?ちゃんと、向き合ってきたんだろ?」 「……」 「十分やったとは言わねぇ。確かにあの時のおまえはおまえらしくなかったけれど、でも…ちゃんとおまえは、“バスケ”、していたぜ?」 ……
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加