act,2 『情熱 from赤木剛憲』

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すっかり夜も更けた街。 心なしか、光っているネオンの数も減り、冬の寒さが、肌をかすめる。 ほろ酔い気分のまま、三井と二人、あてもなく歩いている。 遠くに聞こえる救急車のサイレンの音が、やけに耳に響く。 「なあ三井…。」 「んー?」 「おまえは、あの二年を、取り戻せたか?」 少し考え込んで、三井は応えた。 「あぁ。おまえらの、おかげでな。」 …… 桜木に、『ゴリの分まで』と言われた時。 その時俺は、彼が羨ましく思えた。 そして、妬ましかった。 自分が手に入れる事ができなかったもの…… それを手に入れ、今もなお、突き進もうとしている。 あの頃と変わらずに、純粋に歩んでいる彼。 でも、素直に背中を押してやる気持ちになれなかった自分。 あの頃のように、熱くなれるものが、今の自分にはあるのだろうか。 「じゃあ……今からそれを、探さなきゃだな。」 そう言って、三井は「またな」と手を振った。
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