act,2 『情熱 from赤木剛憲』

7/7
前へ
/43ページ
次へ
家に着くと、途端に眠気が襲ってきた。 着替えだけでもと思ったが、どうにも体が動かない。 そのままベッドに体を沈めて、ウトウトする。 薄れていく意識。 その中で、耳慣れた音が聞こえてくる。 ダム… ダム… ダム… ダム… 段々と、その音は近づいてくる。 久々に聞くそれに、心地よさを感じた。 …… 目が醒めると、そこにはいつもの日常が広がっていた。 太陽も顔を出し、雀もいつも通り鳴いている。 「寝ちまったのか……」 まだ眠い体を起こして、ベランダに出る。 冬の寒さが身に沁みる。 でも、いつもと変わらないそれに、ひどく、安堵している自分がいる。 …… 『夢は、全国制覇です!』 …… 「懐かしいな…」 呟いた言葉は、形になることはなく、寒空の中に消えていった。 …… 『ゴリの分まで、頑張ってくるよ。』 …… 「ふん。たわけが……」 おしまい
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加