act,3 『君のために from木暮公延』

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…… 大学三年の時、コンタクトに変えようと思ったことがあった。 理由は色々。 バスケをするにも、眼鏡をかけているよりは邪魔にならないとも思ったし、実は、ちょっとした憧れもあった。 けれど、何故か周囲には反対された。 桜木に至っては、 『メガネ君じゃなくなる!』 とまで言い放った。 そこまで言われてしまうと、急に意欲が失せてしまう。 結局、こうして今も、眼鏡をかけていたりする。 …… 「で?用件はそれだけじゃないんだろ?」 カップを置いて、赤木はまた、軽く欠伸をした。 「え?」 「ふん。それだけの事なら電話でも済む話だろう。たわけが。もっと他に話があるんだろう?」 静かに赤木は問いただす。 けれど、その風貌だと、少しすごまれただけでも正直たじろぎたくなる。 さらに、自分の考えていることが見事に見透かされていて、何故だか作り笑いにより一層力が入ってしまう。 「はは。なんでもお見通しかよ。」 「…何年友達付き合いしてきてると思ってるんだ。雰囲気で分かるよ。それで?何なんだ?」
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