act,3 『君のために from木暮公延』

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決心しようと思っても、なかなか踏ん切りがつかない。 どうしても、最後の一歩で躊躇してしまう自分がいる。 一言で言ってしまえば、単なる優柔不断なだけかもしれない。 コンタクトの事だってそう。 自分では大丈夫と思っていても、少し野次が聞こえるだけで、『ダメかも』と思ってしまう。 自分に自信がないからなのか。 それとも、周りに流されがちな性分なのか。 それは、いくら自分の事といえど、正直分かりかねる。 けれども、今回の事はさすがにそうもいかない。 一世一代の気合いが入っている。 同時に、今までにない緊張感があるのも事実だ。 インターハイの舞台に立った時と同じくらいかもしれない。 …… 『宮城はまだ、彩子一筋なのか?』 『え?急になんですか~もー。』 『いや、どうなのかなと思ってさ。』 『……まあ、いつか絶対、俺に振り向かせてみせますよ。』 『はは……うん。』 『……?……』 『おまえみたいに、ずっと一人の人を一途に想い続けられる奴ほど、純粋な人はいないのかもしれないな。』 ……
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