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あの夏。
確かに俺は、アメリカへ行くはずだった。
より高みを求めて、新しい世界に足を踏み入れるはずだった。
でも結局、俺は、アメリカへは行かなかった。
……
「もしもし?テツ?」
「お~…どうした?久々だなぁ。」
「うん。久々。」
「そっちはどうだ?やっぱ寒いか?」
「まあね。雪もそこそこ降ってるよ。」
「そうか。」
「うん。だから時々、なんとな~く思い出すよ。そっち。」
「……栄治。」
「?」
「たまには…都合がつく時でいい。こっちに、帰ってこいよ。」
……
思い知らされた。
もちろん、勝負の世界に『絶対』などという言葉はない。
チームとしても、個人としても、しっかり戒めているつもりだった。
でも、あんな形で負けるなんて、全く思っていなかった。
あの時ほど、“絶対”などないことを痛感したことはない。
『アメリカに行く前に、叩き潰しておかなければならない奴が、まだたくさんいる』
そう感じた時、決まりかけていたアメリカ留学の話を白紙にしている自分がいた。
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