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告知を受けて半年。
みどりは、眠るかのように亡くなった。
穏やかに…
きっと、痛みはあっただろう。
でも、最期を迎える時、彼女はちっともそんな事を感じさせなかった。
そのことを想い、俺は、一生分泣いた気がする。
……
「ちょうど……」
「ん?」
「ちょうど、今日みたいな時だったかな~。」
「…何がだ?」
「帆乃佳、風邪をひいたんすよ。まあ大したことなかったんですけどね。まだ、みどりも死んだばかりでさ…気づいてやれなかったんすよ。」
……
『おい洋平!おまえ、それでも父親か?そんなんで、帆乃佳の父親だって言えるのか?』
……
「ふん。あいつにそんなまともなこと言われちゃおしまいだな。」
「……分かってたんすよ。でも、あん時はどーしても余裕がなくてね~。殴り合って……なんだかそのまま気まずくて……」
ふと窓の向こう側に目を向ける。
夜の街に、小雪がちらほらと舞っていた。
どうりで寒いと感じるわけだ。
「…とりあえず、今晩はしっかり寝せてやれ。汗かいたら、こまめに着替え、させるんだぞ。」
「あぁ。心得ましたよ。」
「……あと、それからな…」
「……?……」
……
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