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タクシーから降りて
背中に背負ったあやめが温かくて、汗をかいてないかが心配だった。
こんなに…………
距離が近い友達って
初めてかも知れない。
歩く度にゆらゆら揺れる細くて白い手を見ながらふと思った。
エレベーターを出るときに
あやめの足がぶつからないかを確認しながら身体を横にして廊下にでる。
「…………」
全然起きないあやめに少し心配になってきた。
例えば今日いたあの男性。
確実にあやめに気があった
だって迎えに行ったとき凄く睨まれたから…………。
あんな人に送られて
こんなに起きなかったら
どこに連れ込まれても気がつかないんじゃないか?
人に懐きやすいし
警戒心ないし
知らない人にもついていきそう。
玄関で靴を脱がせ
リビングに入ると
自分の荷物が置きっぱなしになっていた。
そっか、慌てて出ていったんだった。
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