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私って付き合ったら重いんだろうな。 だから浮気されちゃったのかな…………。 ずーんと重い石が心にのし掛かる。 「はっ やばい ちょっと気持ちを切り替えよう」 私は直ぐさま出掛ける準備をし、ストールを手に持った。 「ケイ 出てくるね」 部屋にいるケイに声を掛け玄関へと向かった。 「こんにちは」 「はーい あれ?あやめちゃん」 ドライヤーでお客様の髪を乾かしながら顔だけ此方に向けた琴葉さんが私に気付く。 行き付けの美容室に来て琴葉さんが一段落するまでソファで待たせて貰った。 お客様を外まで見送った後 お待たせと琴葉さんが戻ってきた。 「今日やってもらえますか?」 「もうちょっと待って貰えるなら 何時も予約してから来なさいって言ってるのに」 さらさらの長い髪を横に纏めた私の担当の琴葉さんが腰に手をあてて怒るような仕草を取る。 でもおっとりしてるから怖くないんだけどね。 「すいません」 「じゃあ、ちょっと待っててね」 私に掌を見せてニッコリ笑って戻っていった。 ソファに座り雑誌を見ていたらアシスタントの男の子が紅茶を出してくれた。 「あ、ありがとう 凄く良い香り」 私より若いそのアシスタントの子はにこっと笑って一礼した。
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