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「朝日お疲れ、ありがとう」 「ああ」 衣装のジャケットをスタイリストに渡し、シャツのボタンに手をかけた。 「すぐ帰る? ちょっと片付けがあるから、待っててくれるなら送れる」 「じゃあ待ってる」 掌を出し鍵を要求する朝日にケイは鞄から取り出した鍵の束を渡した。 「朝日」 片付けを終えたケイは 車で待っている朝日に声をかけ コンコンと窓をノックすれば 助手席でシートを倒して寝ていた朝日が のそりと起き上がる。 長い手を伸ばしてロックを解除し、そのまま伸びをしてシートを戻す。 「今日女の子一人も居なかったね」 朝日がつまらなそうに窓に頭を傾ける。 「居ても手出さないでよ? 後始末誰がすると思ってるの」 呆れた溜め息をつきながらエンジンをかけギアを入れ車を走らせる。 「あぁ 帰んのめんどくせ ケイの所に泊まって良い?」 「駄目 朝日仕事の準備だってしてきてないじゃん」 「朝帰る 部屋余ってるだろどうせ」 頭の後ろで指を交差させ其処に頭を乗せて朝日は身体を仰け反らした。 「余ってない」 前を向いたまま運転するケイの横顔を朝日は見つめた。
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