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「…………何か感動」 私は窓の外を見ながらほぅっと溜め息をついた。 雨粒が窓に張り付いて、夜景の光をより綺麗に見せる。 「気に入って貰えて良かった」 「料理も綺麗だし、美味しいし誘ってくれてありがとう」 ケイは笑顔を私に向け綺麗な所作でワインを口にした。 「お客様おめでとうございます」 ウェイターがワインレッドの立方体の箱を片付いたテーブルに差し出した。 「…………え?」 私はウェイターを見上げて 其れからゆっくりケイに視線を向けた。 「ケイ…………」 「ん?」 「これ……って」 「開けてみて」 促されて私はこくりと頷き立方体の箱に手を添えゆっくり引き上げた。 中から爽やかな甘い香りが広がって、つやつやしたフルーツ盛りだくさんのタルトが御目見えする。 真ん中にあるチョコレートのプレートに目が釘付けになる。 『*HappyBirthday*あやめ』
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