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「涙なんて 流れるまま流せばいいよ」 ケイの声が身体を伝って響いてくる。 「きっと ちゃんと悲しんでなかったから あやめの中では完了してなかったんだよ 完了しなかった出来事って 完結するまで燻ったりするんだよ」 ゆっくりゆっくり いつもの優しい声で ケイが私を救い上げる。 「外傷は 見た目でわかるから 瘡蓋<かさぶた>が出来て 治っていくのがわかるから 気持ち的にも前向きになれるけど、 心の傷は見えないからね 深さも幅も分からない どれだけ時間がかかるかも 本人にだってわからないんだよ ちゃんと治らないまま 傷口だけ無理矢理蓋をしたら ぱっくり開いたとき 壊れちゃうよ?」 辛くて搾り出るような涙はいつの間にかゆっくりと一粒一粒がころころと頬を転がっていく。
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