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家に着いてもまだ繋がれたままの手。 リビングに入ると テーブルの上に薔薇のブーケが置いてあった。 「これ」 「誕生花だよあやめの」 「……………ありがとう こんなにして貰って 嬉しい」 じわじわと胸に熱いものが込み上げる。 繋いでいた手が私の頭へと移った。 「大丈夫?」 私を覗き込む薄茶色の目が私の気持ちを映したかの様に悲しげに揺れた。 「ありがとう ちゃんと終われた気がする」 「良かった」 呟いてケイはおやすみと自分の部屋へ入るため私に背を向けた。 「…………」 私は思わず服の裾に手を伸ばし俯いて引き留めていた。 「どうした?」 身体を半分振り向かせケイが此方を伺う。 「一緒に………」 どくどくと内側から外に向かって飛び出すような心臓の音が駆け巡る。 「一緒に………寝たい」 羞恥で紅潮する顔を晒すわけには行かず、手に力が入ったまま目線は上げられない。 「寝る準備が出来たらおいで」 ケイがくすっと笑ってくれた事に安堵し、私は黙って頷いて一度部屋へ戻った。
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