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ケイに告白しても言われることは何となくわかるんだ 別に告白したいわけじゃない 伝えずに終われるなら それでいい。 ママにお礼を言って帰るため 大通りでタクシーを呼び止めようと 歩道から手を上げたら 私の数メートル手前で さっと男性が手を上げた。 「あ」 私に気付いたその人と お互い顔を見合わせて 固まってしまった。 すーっとウインカーを出したタクシーが二人の間に止まる。 私は諦めて男性に譲ろうとした。 「ねぇ どこまで? どのくらいかかるの」 開いたタクシーのドアに肘をかけて私を見ている。 「………15分位です」 「じゃあ相乗りしていこ 早く」 後ろから来る車のヘッドライトに照らされた彼のシルエットが浮かび上がる。 逆光で表情が見えない………… 余り頭が働いていなかった私は 急かされタクシーに駆け寄った。 「ここで一人にさせて明日事件になってたら嫌だしね」 先に奥に座った男性はシートに凭れ私を見た。 「何処までですか?」 中々行き先を言わない私を見る運転手に謝りながら場所を伝えると 「あ………じゃあ俺もそこで降りよ」 と呟き徐に携帯を取り出した。
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