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え………? 強引な言い方でつい相乗りしちゃったけど降りた瞬間襲われたらどうしよう。 どきどきと脈拍が早くなる。 「もしもし 俺 泊まることにした 10分位したら家に行くから」 自分の用件だけ言って電話を切った。 「…………」 わぁ…………強引な人。 「何?」 視線に気付いたのか携帯をスーツの胸元にしまいながら私を見てくる。 「あ いえ」 ビクッとして私は慌てて窓の外に顔を向けた。 ぱっと見た感じ 爽やかそうで整った顔立ちだったな。 鞄の中で携帯が震え着信を知らせる。 ケイからだった。 「もしもし」 『あやめ?今日帰ってくる?』 「あ、うん ゴメンネ遅くなっちゃって 今帰るところ あと5分ちょっと位かな」 『今日…… ちょっと迷惑かけちゃうかも』 「え? どうしたの」 『いや、やっぱり断る』 ケイは焦っていて、話も見えない………… 何があったんだろう。 そうこうしているとマンションに程近いコンビニの前でタクシーが止まった。 「早く出て」 お金を出そうとしたら男性に追いやられたのでタクシーの外に出た。 彼は料金を支払って長い足を外に出す。 ダークブラウンの艶のある先の尖った靴が目に入った。 立ち上がると大分背が高くて私は下から上へと見上げた。
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