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「部屋余ってるじゃん」 朝日さんは玄関からリビングに続く廊下の右側の扉を開け 靴を脱ぎきっていない私達に向かって言った。 以前も来たことがあるのだろう。 ケイよりも家主らしい振る舞いをする。 「あやめちゃん先お風呂どーぞ」 掌を廊下左側の洗面所に向けて言う。 「朝日ー」 いい加減にしろ と呟くケイが朝日さんをリビングへ押し込む。 朝日さんに振り回されているケイは珍しく狼狽していて小さな笑いが込み上げる。 「念のため鍵をかけてね」 リビングからケイが心配そうにお風呂場へと見送った。 「甘やかし過ぎじゃなーい?」 朝日さんの声がドア越しに聞こえる。 甘やかされてるのか 私。 甘えているのね かなり。 思い知らされた。 朝日さんに来てもらえて良かったかも知れない。 髪を乾かしてリビングに戻ると朝日さんが真っ赤な顔してソファでノビていた。 「朝日さんお酒弱いの?」 苦しそうに首元を掻きむしっている。 「ビール一本でそれだからね」 ケイはリビングにソファベッドを敷いて朝日さんが寝れる準備をしていた。 「本当は向こうで寝かせるつもりだったけど重くて運べないのこいつ 細く見えるけど筋肉ついてるから」 朝日さんのおでこをペチリと叩きベッドへと移動させようとしていた。
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