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「市原さんありがとう御座いました」 月末の3営業日前 市原さんは本社での最後の出社になった。 花束を渡し 送別会も終盤となった。 「ありがとうございました 向こうでも頑張ります」 市原さんの薬指には婚約指輪が光っていた。 「素敵ですね……先輩」 「そうだね」 ユリがうっとりと先輩を見つめていた。 「私も結婚したいです」 お寿司に手を伸ばしたユリは私に穴子を寄越した。 「ユリはモテるじゃない」 「先輩 私最近気付きました モテと結婚は=(イコール)じゃないんですよ この際料理教室でも行こうかな」 「そうだね………いいかもね」 気の無い返事を返すとユリはちょっと拗ねたように私の腕にしがみついた。 「先輩は あの彼とどうなってるんですか?」 下から私を潤んだ目で見てくる。 ユリがもし刑事だったら 皆自白してしまうに違いない。 「何も有りませんよ 彼は親友なの それ以上は無し」
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