2824人が本棚に入れています
本棚に追加
スパンスパンと
壁打ちでもするかのように
私に意見を伝える花は
やっぱり私の事をわかっているんだと思う。
「ルームシェア
続けたいんでしょ」
仕方がないねと言いたげな顔で私を見る。
「うん」
言った所で方向は悪くなるだけなら
私はケイに気まずくなって欲しくないから自分の気持ちを隠すよ。
全てはケイと今まで通り
あの部屋で暮らしたいから。
「あ」
花がいきなり声を上げた。
「倉持さんだ」
視線を追ったけど人が多すぎて誰を見ているのか分からない。
「知り合い?」
「同じ会社の噂のイケメン」
花は目を細めてその人を追った後顔を私に戻した。
「そんなに格好いいんだ」
「天野さんを見慣れてるあやめには物足りないかもよ?」
茶化すように笑って倉持さんの説明を花は始めた。
「どんなに美人な女子社員が誘っても悉く断るし
自分から手も出さない素敵な人で、どうやら彼女に一途で大切にしてるみたい」
「へぇ
完璧な人っているんだね」
運ばれてきたデザートに目を輝かせて、ヨガで消費したカロリーをオーバーしてる事には目を瞑り、紅茶に手を伸ばした。
「あやめ
あの人」
最初のコメントを投稿しよう!