13

4/9
前へ
/431ページ
次へ
「……え」 「頼む」 「家は?」 「解約した」 「引越し先は?」 「此処?」 「朝日」 「頼む」 ぱんと手を合わせてケイに頭を下げた後 朝日さんはくるりと私に顔を向けた。 ぎくっ 思った時には既に遅し。 「あーやーめーちゃん?」 私から許可を先に取ろうとしているのがバレバレな声色ですよ。 「駄目! ちょっと待て朝日」 「あやめちゃんが良いって言えばいいだろ?」 また強引に話を纏めようとしている。 「私じゃなくて 家主はケイですよ?」 「あやめちゃんOKだって」 ちっ ケイの舌打ちが聞こえた。 傍観していた私は余計に波紋を広げるような一石を投じてしまったかも知れない。 「ちょっと来て」 ケイは朝日さんの手を掴んで部屋へと連れ込んで行った。 「…………」 何だか凄い事になりそうだ 私は独りごちて 水を飲んだ。
/431ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2824人が本棚に入れています
本棚に追加