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「痛いって わ、手の跡ついた」 部屋に入り放された手をぷらぷらさせ朝日はケイに抗議する。 「部屋解約したの?」 「ん………まぁ」 ベッドに腰を降ろしたケイは項垂れた。 「………何で家なの 朝日なら良いとこ住めるじゃん」 「………駄目?」 「駄目でしょ 家にはあやめがいるんだよ?」 「過保護か」 朝日はベッドの傍らに座りケイを見上げた。 「ちょっと溺愛っぷりが過ぎるんじゃない?」 朝日の一言にケイが口を噤む。 「いや…………良いんだけどね 俺には関係無いから でもあやめちゃんが ケイを好きになっちゃったら ケイは受け止められないでしょ?」 「…………あやめは 俺の事知ってるよ」 眉を下げ潤んだ瞳で見てくるケイの言葉に溜め息を吐いた。 「まぁ……いいや」 朝日は姿勢を正し、真剣な目をした。 「色々心境に変化が有って 棲みかを変えたくなったんだ 出来たらここに住みたいなと思って」 素直になった朝日は耳を垂らした犬みたいに俯いてアピールをしだす。 はぁ 根負けしたのはケイの方。 「あやめに手出したら即追い出すよ」 「サンキュ」 顔を上げた朝日はにっと歯を出して悪気もなく笑った。 ケイはその顔にまた溜め息が出た。
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