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「俺ね ちゃんと別れたよ」 「…………」 「結構泣かれて また楽な方に逃げそうになったけど 気持ちが少し落ち着いてきたから あやめちゃんに話そうと思って」 「朝日さん」 「あの時代わりに泣いてくれたから 客観的に見れて 踏ん切りつけようって決心したんだ」 庭園の木々がざわめいて葉がさわさわと揺れる影が障子に映る。 「俺が無理言って ルームシェアさせて貰ったのは ケイとあやめちゃんに甘えたかったんだよね 独りでいると楽な方に流される気がして」 「…………分かります」 「………有り難う さ。食べよう」 明るい表情で語ってくれて 要らないものが剥がれ落ちた 一皮剥けたさっぱりした顔の朝日さんが私に笑いかけた。
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